米女流作家で多くの映画の原作者でもあるパトリシア・ハイスミスの人生と素顔に迫るドキュメンタリー。本人が映るアーカイブや関係者インタビュー、原作映画の名場面など様々な映像で構成されますが、生誕100周年を経て初めて発表された日記から抜粋される“言葉“がとりわけ印象に残り、ヒッチコック魔術全開の『見知らぬ乗客』も、『太陽がいっぱい』や『リプリー』も、自伝的小説の映画化『キャロル』も、観た当時とは違う解釈が見えてきました。文学の神に愛された人間の、言葉の表現力は凄い!
彼女の日記には失望という単語が度々出てきますし、小説を書く理由は許されない人生の代わりとも書いていますが、小説を書くことで人生から逃げたわけではなく、人生に決着をつけていたのではないかと思いました。思い通りにならないことばかりなのが人生。でも、ひとつひとつにしっかり決着をつけて、前進したいものです。