ロスト・イン・トランスレーション

CM撮影のために来日したハリウッドアクターと、カメラマンの夫に付き添って日本に滞在する女性。喪失感を抱えた似た者同士がそっと惹かれ合う儚い一瞬。

フランシス・フォード・コッポラの娘ソフィア・コッポラの出世作、舞台は無国籍なトーキョー、渋谷スクランブル交差点が世界的に有名な観光スポットとなった映画です。

同じく約20年ぶりに映画館で観た『アメリ』のように今の自分にグッとくるセリフを見つけたり、『ゴーストワールド』のようにやっぱり大好きな映画だと大興奮したりはしませんでしたが、この映画が魅力を放った当時がひたすら懐かしくなりました。

そして何といってもスカーレット・ヨハンソン!

夫に取り残され、異空間の中で独り彷徨うヒロインを自然体に演じていて、撮影時18歳の彼女の新鮮な魅力全開ながら、すでに大物女優の貫禄も!両面を合わせ持った彼女を改めて見れて面白かったです。

今回も当時の東京のミニシアター史を振り返ってみました。今回は2004年です。この年の単館興収1位はヴァージンシネマズ六本木ヒルズが上映した海洋ドキュメンタリー『ディープ・ブルー』。シネマライズは『ロスト・イン・トランスレーション』を、シネスイッチ銀座は『真珠の耳飾りの少女』を、それぞれ4月から約半年ロングラン、スカーレット・ヨハンソンが同年のミニシアターの顔になりました。恵比寿ガーデンシネマが『グッバイ、レーニン!』『華氏911』『モーターサイクル・ダイアリーズ』を次々とヒットさせた年。そして、シネクイントの『ジョゼと虎と魚たち』、岩波ホールの『父と暮せば』、シネカノン有楽町の『誰も知らない』、シャンテ・シネの『下妻物語』と、多彩な日本映画がヒットした年でした。