なんて温かい映画だろう!クレオが、ナニー(乳母)のグロリアに抱きしめられている時に感じていたはずの大好きな人のぬくもり。その温かさが私の身体にも伝わってくるようでした。忘れられない83分の映画体験です。
グロリアは、家族を養うためにフランスに渡った経済移民。故郷に戻った彼女のもとを訪ねたクレオは、グロリアの娘に子供が生まれたり、出稼ぎの母との距離を埋められず反抗する息子を知ったりするうちに、彼女の苦しみに胸を痛めたり、寄り添いたいという気持ちを持ったりします。それは、実親との関係とは違う思いやりの感情。6歳のクレオの、成長の夏休み。
クレオと同じくらいの歳の頃、家族ぐるみで仲良かった幼馴染みのお母様がこっそり泣いているのを見たことがあります。その時の自分なりに、泣いている理由がわかり、理由がわかったことを知ってほしくて、その場にずっと居続けたという記憶が鮮明に蘇りました。その方に、その時のことを話したくて仕方なくなってきました。
(2023年製作/フランス/監督・脚本:マリー・アマシュケリ)