この映画は、ある落下死事故の“真相”を私たち観客に最初に見せます。その後展開する、冷酷なサイコパスVS.彼を脅迫して大金を得ようとする少年たちの闘いが、最初の事故の真相の上にいくつもの殺人といくつもの嘘を積み重ねていきます。
何といっても13歳の少年少女役の3人が見事!朝陽が本性を見せ始める、その境い目の演技が凄い。そして夏月は、たたずんでいる姿だけも全身で夏月を演じきっていて、背負っているものが重すぎる彼女の人生に何度も切ない気持ちになりました。
中国のベストセラー小説を日本を舞台に映画化。原作のハードな部分に惹かれたが、同時にどう脚色しようかと考えたと金子修介監督が語っています。「日本の場合は、もっとやわらかい部分が病んでいる、優しいけど病んでいる」という監督の言葉が印象深いです。
題名は、スティーヴン・キングの小説「ゴールデン・ボーイ」にオマージュを捧げたのだそうです。「ゴールデン・ボーイ」は優秀な少年が大人を脅迫して自己の快楽を満たす話で、映画にもなりました。大人は世を捨てた老人、力関係は少年の方が圧倒的に上でしたが、本作の場合は、凄みと色気でギラギラしている岡田将生が、少年たちと真剣に勝負、見応えありました。