ナミビアの砂漠

カナ:21歳。職業:脱毛サロンスタッフ。趣味:特にナシ。将来の夢:特にナシ。彼氏:とりあえずいる。いつも一緒:タバコとケータイ。

カナの生態を観続ける137分間の映画です。

気だるそうに見えて、実は周囲にエネルギーを発している。彼氏をいいように利用するように見えて彼氏に依存している。…なんていう分析が無意味と感じるくらい、ただただカナを観続けることが面白くて面白くて!

生命力全開で街を疾走する無敵さ。ちょっとのつまずきで気持ちが全く立ち行かなくなる弱々しさ。感情の振れ幅が大きい彼女を理解するのは難しい。でも「どうせ百年後は骸骨なんだからどうでもいい」なんていう生き方はしたくないと悩む姿には共感したくなる。

カナは、ナミビア砂漠の水飲み場に設置されているライブカメラの映像を時々見ています。水を飲む動物たちが何を思っているかなんてわからない。なぜカナが時々見たくなるのかもわからない。

そんな“わからない“ことが、不安ではなく、わからなくていいんだと安心になる。なかなか持つことのない感情を持ち帰れた映画です。

河合優実がまだ俳優になる前の高校3年生、山中瑶子監督が21歳の時に、監督第一作の上映館で会い、「俳優になるのでいつかキャスティングの候補に入れてください」という手紙を監督が手渡しされたことがあったそうです。その願いが果たされた映画が本作。そんなことを知ったら観ずにはいられない1本でした!

(2024年/日本/監督:山中瑶子)