パスト ライブス/再会

どこかで読んだ「忘れられない人が思い浮かばない人生よりも、どうしても忘れられない人がいる人生の方が、 きっとずっと素晴らしい」という言葉を思い出しました。

人生にはいくつもの選択があったけれど、ひとつひとつ選んで今の人生に辿り着いた、その人生を大事に受け入れよう。映画の中のノラとヘソン、ノラとアーサー、それぞれのラストシーンに前向きな気持ちをもらいました。

映画の冒頭にスクリーンに出るタイトル“PAST LIVES”。邦題の表記「パスト ライブス」も、間の余白が特徴的です。

セリーヌ・ソン監督は、12歳で離れ離れになった幼馴染みのノラとヘソンの再会を、24歳と32歳、12年ごとにすることにこだわったり、ふたりのラストシーンの2ショットを、2分にこだわったと語っています。その緻密な時間へのこだわりが、この映画をきっと深くしているのだと思いますし、多くの余白が、優しさや寛容を感じ取れる映画にしているのだと思いました。