ユニコーン・ウォーズ

とあるディストピアで繰り広げられるテディベアとユニコーンの聖戦を通して、争いの無意味さを描いたアニメーション映画です。

可愛い見た目ながら残酷でグロテスクな表現が全編を覆う驚き!

そして、監督が「『地獄の黙示録』と『バンビ』と聖書。この異なる要素を混ぜたら素晴らしい化学反応が生まれた」と語っている通り、「極限状態に陥った時の狂気」と「愛と成長」と「創世記」がひとつの映画の中で語られていながら、それらのメッセージが織りなって、ひとつの反戦映画ができあがっている凄さ!

テディベア軍のゴルディとアスリン、双子の兄弟が主人公です。優しく気弱な兄と憎しみの塊の弟。新兵訓練所から戦地へ、異常な環境の中で兄弟の心の葛藤は激しさを増します。戦争がなければふたりの関係は変わっていたかもしれない。ふたりの悲惨な最期が後を引きました。

今年のアカデミー賞で長編アニメーション映画賞にノミネートされ、日本では今秋公開される『ロボット・ドリームズ』もスペインの監督の作品で、ひとりぼっちのドッグが組み立て式ロボットを作り友情を深めていくが…というストーリーに、きっと好きな映画のはず!と既に確信。スペインのアニメーション、注目です。

2022年製作/スペイン・フランス合作/監督:アルベルト・バスケス