観終わった後の気持ちを上手く表現できません。どよん?ざわざわ?
旅先のさびれたパブで住み込みで働くことになった親友2人が経験する、客たちからの女性差別。エスカレートして結末へとなだれ込みます。長編デビュー作『アシスタント』で若い女性アシスタントの会社での1日を赤裸々に描いた キティ・グリーン監督は、今回も男性社会における女性の立場をあぶり出しました。
両作に共通するのは、生々しさ。ドキュメンタリー監督出身の彼女は、前作では主人公と同じ経験を持つ多くの女性社員たちを取材。今回は田舎のパブでよく過ごしている男性との共同脚本というスタイルを取ったそうです。
『ロイヤルホテル』に関していえば、女2人の男性社会からの解放のロードムービーとして『テルマ&ルイーズ』を思い出しましたが、本作には、ハーヴェイ・カイテル演じる刑事のような2人を理解しようとする男性は一切登場しません。ブラッド・ピットがクズ男を演じればたちまち愛すべき青年になりますが、本作のクズ男は、ただのクズ男。本作に生々しさが漂う理由が理解できます。
観た後の気持ちを上手く表現できませんが、観た人と無性に語りあいたくなる映画です。
(2023年製作/オーストラリア/監督・共同脚本:キティ・グリーン)