観終わったあと、3人が過ごしたクリスマス休暇のひとコマひとコマを思い出し、心が満たされ続けました。あー、大好きな映画!
堅物の古代史教師ハナム。飛びぬけて成績優秀だが反抗的な生徒アンガス。ベトナム戦争で息子を失った料理長メアリー。3人とも無愛想で警戒心が強いので小さな衝突ばかり。でも、すでに第一印象から3人は気持ちが通じ合うことがわかるので、心の距離が少しずつ近づいていく過程を、ゆっくり見守ります。
やがて知ることになる、3人それぞれが抱える痛み。
この映画は、登場人物たちの心のロードムービー。舞台は殆どが3人が居残る校舎の中なのに、何て奥行を感じる映画なのだろう。それぞれのこれまでの人生の道のりがここに行き着き、この校舎で交差し、そしてまたそれぞれの人生の道がはじまる様子が見えてくるのです。
メアリー役タヴァイン・ジョイ・ランドルフに泣かされます。孤独と必死に闘っている人の手を握るメアリーの、無言の優しさ!
子供はやがて人生に飲み込まれる。だから今、できることをしてあげて。そんな台詞がでてきます。でも、大人も否応なく人生に飲み込まれることがあります。そんな時に、ふと思い出し、自分を保てるような、こんな数日間の休暇を過ごせたら最高です。
(2024年製作/アメリカ映画/監督: アレクサンダー・ペイン )