そうだ私、いつかバスク地方に行ってみたいという計画があったんだ、と思い出しました。海辺、旧市街、美術館、建築物、そして食(バルのピンチョス!生ハム!ガトーバスク!バスクチーズケーキ!)。そんな旅を実現させるなら、バスク地方のスペイン側に位置するサン・セバスチャンに、9月の映画祭開催時期を狙って行くことに決めました。映画の熱気に溢れている街に浸ると、主人公モートのように、好きな映画の中に自分が登場する夢を見るのかも。
描かれるのは華やかな映画祭での数日間。悩める主人公の卑屈っぷりと、世の中への皮肉を込めたジョークと、滑稽な恋愛劇。そしてたっぷりのニューヨーク愛とジャズ愛と映画愛。どこを切り取ってもウディ・アレン監督映画。
前作『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』は、ティモシー・シャラメに悩める主人公を演じさせて、見事にはまった、とても若々しい映画でしたが、本作は、ウディ・アレン・テイストを、濃くもせず薄めもせず、ストレートに見る面白さを味わえる映画でした。