ハンカチ必携とは聞いていましたが、私は、映画が始まって15分後にはもう泣いていました。
大切な人と出会えた喜び。ふたりを隔てる障害への憤り。会いたい気持ちがつのる切なさ。でも、思い出があればいつでも楽しくなれる。
そんな感情のすべてが込められた傑作。そして、心の奥の記憶の引き出しをそっと開けるような、愛おしいラブストーリーです。
この映画にはセリフが全くありません。でも、大切なメッセージは全部絵の中にあります。
犬の表情からは、大好きな人と今この瞬間に一緒にいることの嬉しさが、ロボットの目の動きや口の形からは、大好きな人を想い続けていられるなら全然孤独なんかじゃないよといういじらしさが、もう、わかりすぎて切ないくらいにわかります。
この映画には、さまざなな形の幸せがありました。その幸せをくれた人に、ボクは幸せだよという気持ちがちゃんと伝わっている優しい映画でした。
想いが通じ合うのに言葉は必要ありませんでした。
(2023年/スペイン・フランス/製作・監督・脚本:パブロ・ベルヘル)