正体

殺人事件の容疑で死刑判決を受けた鏑木は、脱走に成功し、日本各地に潜伏しながらその都度姿を変え逃亡を続ける。 各地で鏑木と出会う和也、沙耶香、舞、そして鏑木を追う刑事の又貫は、ある目的のために正体を隠す彼に翻弄される。

原作者・染井為人の「ぼくが描かなかった部分をあえて主軸に置いた映画『正体』は、小説『正体』のアンサー作品です」というコメントを読んで、すぐに小説を購読!結末が全く違うことを知りました。小説の結末には、2時間では到達できない奥の深さを感じ、一方、映画は、この物語を締めくくるのに一番求めたい結末でした。確かに、この映画は小説への「アンサー作品」だと思います。

横浜流星がいい!極真空手初段、ボクシングのプロテスト合格という彼の類稀なる身体能力を脱走シーンで堪能できます。そして、目の美しさが印象に残りました。強くて真っ直ぐで嘘のない目。映画前半の鏑木の正体不明な不気味さは、前半の彼の変装が、前髪が長かったり分厚い眼鏡をかけてたりして目を隠していることで表現できていたのではないかしら。2025年のNHK大河『べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~』が放送開始。森下佳子脚本作品のファンとして楽しみにしていますが、主演の横浜流星にも注目です!

(2024年/日本/監督・共同脚本: 藤井道人)