1.『スリー・ビルボード』
2.『レディ・バード』
3.『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』
4.『悲しみに、こんにちは』
5.『15時17分、パリ行き』
6.『彼が愛したケーキ職人』
7.『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』
8.『ブリグズビー・ベア』
9.『ボヘミアン・ラプソディ』
10.『ラッキー』
その年に観た映画のベストテンを書き溜めて20年になります。毎年悩みに悩んで10本に絞るのですが、リストを眺めていると、何かしら発見することがあり面白いものです。
2018年は、ラストシーンにノックアウトされた映画が多い1年でした。
『スリー・ビルボード』は、最後に交わすふたりの会話が圧巻。台詞を正確に思い出せるほど、ここ数年観た映画の中でも屈指のラストシーンでした。ヒロインが横を向いた瞬間に映画が終わるという斬新さが印象的だった『レディ・バード』。正面のクローズアップではなく、なぜ横顔だったのか・・・後にグレタ・ガーウィグ監督のオーディオコメンタリーでその理由がわかり、大いに納得しました。『フロリダ・プロジェクト』と『悲しみに、こんにちは』は、自分を抑えてきた少女たちが最後に感情を爆発させた時の表情が忘れられません。
『15時17分、パリ行き』には、またしてもやられた!という思い。クリント・イーストウッド監督作品には、劇的なクライマックスシーンよりも、エンドロールが流れ始めることを予感したその瞬間にいつも心をずしんと動かされます。そこからしばらく、登場人物のその後の人生に思いを馳せ、余韻に浸る時間が続くのです。
男の素性も、秘めた想いも、すべてを見事に表現した「後ろ姿の演技」が忘れられない『彼が愛したケーキ職人』。シーツおばけの垂れ目具合が完璧だったことと、何が書いてあるのか最後までわからない「メモ」が頭から離れない『ア・ゴースト・ストーリー』。『ブリグズビー・ベア』は、否定的な目線がひとつもない、優しい映画。この映画が好きな人とは何時間でも話ができます。
最後の2本は、俳優で選びました。ルーシー・ボイントンが魅力的だった『ボヘミアン・ラプソディ』。生涯愛した唯一人の女性・・・そんな「バンドマンのミューズ」という役どころを、『シング・ストリート 未来へのうた』に続き説得力をもって演じた女優です。そして、ハリー・ディーン・スタントンの遺作となった『ラッキー』。自分を見失い過ちをおかした過去を背負いながら、愛する者たちの幸せだけを望む男を演じた『パリ、テキサス』が、私にとって印象深い俳優ですが、本作では、ただひたすらに今の自分自身と向き合い生をいとおしむ男を演じていて、ふたつの役がまるでひとりの男の生き様のように繋がっていきました。