連載①ミニシアター系映画史について

 4月7日に発令された政府の緊急事態宣言が、5月25日をもって全都道府県解除。東京都が本日6月1日よりステップ2に移行したことにより、全国の多くの映画館が営業再開となりました。再開を模索中の映画館も含め、ウィズ・コロナの状況下で映画と観客が出会う場所をどのように運営し続けていけるのか。そして、映画配給や映画製作も含め、映画に携わるあらゆる企業や個人の苦難はこれからも続きます。

 この約2か月間、「ミニシアター」というワードを本当に多く目にし耳にしました。そのたびに私は、自分が今できること、すべきことを見つけて実行したいという思いに駆られました。

 私は、某ビデオメーカーに勤めていた時に、<ミニシアター系映画専門レーベル>を立ち上げ、ブランドとして育て、ラインナップ作品を編成しパッケージ(ビデオ、DVD)をリリースする仕事をしました。立ち上げは1997年1月。ミニシアター・ブームの成熟期といわれた時代。映画パッケージ業界で唯一存在する専門レーベルとして、トータル90作品の映画をリリース、2006年3月まで約9年間運営しました。

 その時に収集した関連資料のひとつとして、1991年から20年分の「ミニシアター公開映画年間興収ベストテン」データ※を保存していました。そこで、このデータをもとに特集コラムを連載的にあげていくことを思い立ちました。特集名は「ミニシアター系映画史」。その年にミニシアターで公開した映画を対象に、メイン館1館で上げた興行収入ベストテンを紹介。10本から見えてきたその年のトピックスをまとめます。

 勿論、ヒットした映画が大事というわけではありません。ミニシアター史において外してはいけない映画がヒット作だけではないことは、言うまでもありません。そして、このデータの決定的な欠点は、メイン館の殆どが東京の映画館であり、且つ私が東京在住なので、全国各地のミニシアターについて言及することができない点です。そこで、それらの欠点をしっかり意識して、ベストテン以外の作品の数々や映画にまつわる記憶が連鎖的に思い出せる、思い出していただけるようなコラムを書くつもりです。

 そして途中途中で、今回のこの特集コラム連載の目的や、ミニシアター系映画史のまとめなどを書こうと思っています。

※文化通信社発表